エンドミルのびびりの原因と対策について

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エンドミルのびびりとは

びびりとは、エンドミルに大きな負荷がかかってしまい、軸心がずれて振動してしまい、エンドミルが暴れてしまう事です。

びびると、エンドミルが欠けたり折れたりするだけではなく、ワークの面粗度が悪くなり、鱗状の模様になり本来の寸法より削り過ぎてしまいます。公差がある時は、ビレない事が大切になります。

ビビリの原因と対策

原因①:エンドミルが長い

エンドミルが長いと、ビビリが発生してしまいます。

「力のモーメント」や「てこの原理」のように、距離×力により、長くなるほど、負荷は大きくなりますよね。

どれくらい長いかは、個人的な感覚では有効長さ3Dくらいの長さかと思います。
φ20のエンドミルであれば60の有効長さですね。3D以上のエンドミルは、長いと思っています。

対策

  • 出来るだけ、エンドミルを短くつかむ。(シャンクいっぱいにつかむ)
  • 切込み量Zを減らす。
  • 回転数を下げる。鉄なら周速15~20くらいかと思います。(送りは0.1くらいです。)
  • 短いエンドミルで出来るだけ削ってから、深い所だけを長いエンドミルで加工する。
  • 時間はかかっても荒加工、中引きをしてから仕上げをする。
  • エンドミルは使用せず、ラジアスミルにしてみる。
  • 研磨屋に首元のシャンク部を削ってもらう。

原因②:段取りが弱い

段取りが弱いとワークが振動してしまいます。

例えば、クランプ位置が加工位置から遠く離れていたり、バイスの口幅以上の長い材料で加工位置がバイスの口より遠かったり、クランプ箇所が2か所だけとか、プレーンクランプの締める位置がブロック側だったりする。

対策

簡単に出来る対策としては、

  • クランプを増やす。
  • 振動が起きやすい位置にジャッキやゴムを入れる。
  • パイプを使ってクランプを締める
  • 防振用の突き当てを当てる。

簡単にできない時は、段取り自体を見直す必要があります。
それはクランプしにくい位置や形状の為だからです。ちょっと大変ですが、治具を作ってみたり、工程を2回に分けたり、M0ストップで締め変えてからスタートしたりと工夫が必要になります。

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原因③:キリコが詰まってしまう。

キリコが詰まってしまうのは、荒加工せずに仕上げたり、エンドミルで突いて底面に当たったりしてしまう為です。例えば、長穴作成をエンドミルで突いて横に移動させて仕上げる事ですね。加工時間、工具を用意する本数は少ないのですが、エンドミルの負荷が大きく、キリコの逃げが上しかないですね。

対策

この対策は単純に荒加工をする事ですね。長穴でしたら、下穴をキリであけてからラフィングを0.2残しで荒引してから仕上げます。

底面に突いてエンドミルで仕上げるのではなくて、下穴キリであけてから、ヘリカル切削して、底面0.05手前で終わるようにするといいです。ヘリカル切削とは、周りながらZが下がっていく加工です。

2枚刃のエンドミルでキリコが逃げるポケットを大きくしてあげます。

原因④:コーナーRのビレ

長いエンドミルでコーナーRを回る時、嫌な音と共にビレが発生してしまいます。
R部分は、負荷が大きいです。

対策

R部分もキチンと荒引をしておきます。R10であれば、φ20を使わずφ16とかで、キチンとRを円弧で移動して切削するようにします。φ20でしたら、一瞬、当たって終わるだけなので、キチンと削れてないからです。荒も仕上げもRより一回り小さいエンドミルで加工しましょう。

原因⑥:薄物加工

薄物の場合は、ビレだけでなく、曲がりも発生してしまいます。その為、寸法も安定しないので、公差がある場合は、公差外れが発生してしまいます。

対策

薄い板は、荒→中引き1→中引き2→仕上げでの順で加工して、全て新品の工具を使用します。

荒や中引きでもビレて寸法が大きくなるので、荒で0.5残し、中引き1で0.3残しで本当に0.3残っているか確認してみましょう。ビレてしまうと0.1づつとかで、少しづつ削っていくしかないです。

曲がりやすい形状でしたら、荒引後にクランプフリーにして内部応力を取り除いてあげてから、再度原点入力してから中引きします。

荒のラフィングは、摩耗次第でなるべく早めに交換します。

段取りもなるべく多くのクランプにします。バイスならバイスのつかみを多くなるようにします。
2個のバイスでつかんでいるなら、2個のバイスの間の距離を短くバイスを設置します。

同様になるべく多くの受けのジャッキやゴムを入れて加工物を安定させます。ジャッキやゴムを入れる時は、クランプした後に、当てるだけにします。

原因⑤:理由が分からないビレが出ます。

理由は分からないがビレが起きてしまう事があります。

今まで挙げたどの原因にも当てはまりません

対策

これはエンドミルに限らずフェイスミルでも共振を避ける事が重要です。

  • 不等ピッチのエンドミルを使う。均等な刃の配置されていると共振が起きやすいです。
    • 不等ピッチの3枚刃や5枚刃の奇数の刃数が良いです。偶数より奇数。
  • 回転数を変化させる。回転数のオーバーライドで、上げたり下げたりします。
  • 荒引の取り代を変える。適切な取り代を探していく必要があります。0.1~0.4くらいか。
  • 中引き0.05残し後に仕上げてみる。

エンドミルの本

エンドミルの選び方・使い方


目で見てわかるエンドミルの選び方・使い方 (Visual Books)

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