工具が品物や締め具に当たってしまう事はよくある。
そうしてしまうと、不良になり、品物もダメになり、機械自体も故障したり精度が悪くなったりして修理したりして、お金がかかってしまう。
出来れば、そういった事は避けて通りたいので、この記事を参考に、失敗を減らしていければいいと思います。
項目は
工具干渉による不良と対策
- 工具干渉による不良と対策
- 工具の欠損と対策
- 過負荷による不良と対策
の3つの項目に分けました。
工具干渉による不良と対策
ケース | 不良の内容 | 不良の原因 | 不良の対策 |
1 | 公差穴の不良 | 有効長さ不足でテーパ部の干渉 | グラインダでエンドミル干渉部を研磨。 |
2 | 座ぐり穴不良 | まず座ぐり穴を作成し、次に下穴キリで穴をあけ、下穴キリのR点を-5にしていて、R点で次の穴に移動時に座ぐり穴に当たり下穴キリが折れた | R点移動はやめて、イニシャル点移動にする。 |
3 | ホルダーの干渉 | エンドミル突き出し長さの確認しなかった | 加工前に再度、確認 |
4 | 工具干渉 | 工具がR点まで上がり次の穴位置まで行く時、締め板に干渉して工具が折れた。 | R点まで上がらずイニシャル点まで上がるように変更した |
5 | ワークと衝突 | 一段下がった面のZ原点を0として、そこから5ミリ上の位置の穴にR点から移動時(Z5)、段差の壁に当たり工具が壊れ、品物に大きなキズが残った | Z原点は一番高い所にする。
一段下がった所は、穴のプログラムを分ける |
6 | インデックステーブルに干渉 | インデックステーブルは、使わないが、アプローチ時に機械本体主軸とインデックステーブルに衝突した | Z点が高い位置でXYをアプローチするように設定した。
インデックステーブル使用しない時は外す。 |
工具の欠損と対策
ケース | 不良の内容 | 不良の原因 | 不良の対策 |
1 | 手でタップをさらい中折れる。 | タップが古かった | 新品タップを使う。
タップ油の使用。 ゆっくり回す。 |
2 | 大きい穴でスクラップが当たる | 前回たまたま、スクラップが穴から排除されて2回目は、そうならなかった | M0ストップで抜きカスを取る。プログラムを変更した |
3 | Φ2小径キリが折れる | 穴が深い。 | ステップで0.2ミリづつ、入れて加工 |
4 | 摩耗によるタップ折れ | 常備、使っている工具で機械に入っていて摩耗チェックをしてなかった。 | 段取り変えをするときに、工具の摩耗もチェックする。 |
5 | タップ折れ | リピート品で、繰り返しでタップ加工をして、タップにキリコが徐々に絡まっていく事に気付かず、負荷が大きくなり折れた。 | 繰り返し品は一度やったら、タップにキリコが絡まってないか確認する |
6 | エンドミル折れ。
またワークの幅200を幅198にした |
Φ20エンドミルをΦ18エンドミルを使用した為 | 工具を取り付け時に、径をノギスで確認する |
繰り返し品や常備機械に入っている工具は、摩耗やキリコの絡まりを常に管理しておく必要があります。
過負荷による不良と対策
ケース | 不良の内容 | 不良の原因 | 不良の対策 |
1 | 品物が動く | クランプ箇所が少なく、段取りが弱かった | クランプ箇所を増やす
加工部分近くをクランプした |
2 | 品物が動く2 | 一度の段取りで、全加工出来るが、品物に負荷が大きくなる所があった | 負荷が大きくなる箇所はM0ストップで止めて、段取りを締め変えた |
3 | スクラップを巻き込む | 荒加工でスクラップが品物に付いていて仕上げ時にスクラップを巻き込み過負荷で品物に大きな打根が残った | M0ストップで、スクラップが取れているか確認後、スタートさせる。 |
4 | 切り込みが量が大。 | ダウンカットにしなければならない所を間違ってアップカットにしてしまい、エンドミルで加工した為、切り込み量が大きく、エンドミルが折れた | 工具経路チェックする。
Zを上げて空振り運転をして動きをチェックしてみる |
5 | 抜きカスを巻き込む | Φ100穴を25ラジアスでヘリカル切削して穴ヌキ加工をし、穴貫通の抜け際、抜きカスを巻き込み、大きな音と共にチップが欠けた。SUSは特にだが、延びて、貫通穴になりにくい | 少しづつ穴を広げる。 |
ラジアスのように、送りと回転が速い工具は、加工が速い分、品物に対する負荷も高いので、段取りが弱いと動いてしまいます。また使用するチップが加工する材料に適しているものを使用し、回転数、送り、切り込み量も、カタログを見て把握しておかなければなりません。
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