斜面の加工について
マシニングでやる斜めの加工は、主に3通りあります。
- 工具でやる
- 段取りを変えてやる
- マクロのプログラムでやる
- 工具でやるのは、
- 30度、45度、60度などの工具を買うか、角度を変えられる工具もあります。または5度とかのエンドミルを研磨してもらったものを使用して、角度をつける方法です。
- 段取りを変えてやるのは、
- 角度計算して、2点求めてエンドミルで、加工する方法です。
- マクロプログラムは、
- ラジアスミルやボールエンドを使い、角度をつけます。切込み量、チップ形状R、工具径、品物幅などを入力していきます。CAMで自動計算されていきます。
以下に簡単な長所と短所をまとめてみました。
工具 | 段取り | マクロプログラム | |
長所 |
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自由な角度設定。
|
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短所 | 有効長はチップの長さ分のみ |
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面粗度が悪い |
工具で斜面の加工
工具を使用して角度をつけるのは、工具があるかどうかになります。
1°刻み
1度刻みでは、以下の工具があります。
- 富士元のマルチアングルミニ
- チェーンヘッドウェイ こちらはYouTubeで紹介されてます。
- 富士元のマルチアングルミリは、使用した事があるのですが、送りと回転を遅くしておかないとチップが吹っ飛びます。チップを裏からレンチで回して、(ロックする回す方向が工具に書いてあります)上から、締め具でさらに固定するのですが、とにかく弱い構造で負荷をかけずにゆっくり加工する事が、大事です。
- チップも、それほど大きくないので、小さな幅でしたら、これを使いましょう。
- エンドミルを研磨屋さんに任意の先端角度を付けてもらうように依頼して作る事も出来ます。
- ツールプリセッタで影を投影して、目的の角度が付いているか確認しときましょう。
5°度刻み
富士元の面取りは「用途に応じて角度15°~75°が選べます(5°きざみ)。」と書いてありました。
チップ幅までの面取りになりますね。
30°、45°、60°
- タンガロイの面取りカッター
- タンガロイの面取りに30度、45度、60度の3種類あります。これは、チップの長さがあり、45度の面取りで使用しているチップも同じなので、使いまわしが良いですが、チップ自体が高いのが、いまいち
段取りで斜面の加工
段取りは、主に2通りあって、
- エンドミル
- インデックステーブル
- 治具を使う
です。
エンドミルで斜めを加工
品物をエンドミルで加工しやい方向に倒して、バイスやクランプなどで固定して加工します。
その際、バイス、クランプに干渉しないように注意しましょう。
ちょいと、その例を図と共に計算式を解説していきます。
上の図の赤丸がYの振り分け中心で原点X、Yが(0,0)として、A(100,50)B(120、?)とします。BのY座標を求めます。
A-B間の距離は20(120-100=20)となり、TAN30=?/20により?の値が11.55(20/√3=11.54)
BのYが50-11.55=38.45
A,B点を入力します。ダウンカットにしたいので、Aを先に入力、Bを後で入力します。
ちょっと別の方法ですが、
次の紹介するやり方は角度以外にもR形状でも使える方法です。
材料取りの時点でバイスのつかみ代分の肉を付けてもらい、ガッチリとバイスで3ミリほどをつかみ、上面を斜面などをエンドミルで加工後に、反転して、その3ミリを削り飛ばす方法があります。
品物が吹っ飛ばないように、送りを遅めにして、ラフィング荒加工時は切込み量も少な目にして、バイスに干渉手前ギリギリまでZを下げて加工します。
インデックステーブル
インデックステーブルに品物を固定させて、テーブル回転させて角度を付けて、斜面の作成が出来ます。ただ、テーブルが回転させたときの原点を出しにくくなります。円テーブルの中心から、どれくらいの距離で削ればいいのかを、計算しておきましょう。
または五軸加工機や複合旋盤、横型マシニングでテーブル回転するのであれば、それで角度を付けてもらう方法もありますね。
治具で角度を付ける
バイスや角度つきバイスをつけます。
バイス
平行台の代わりに角度をつけた板やVブロックを敷く事により角度をつける事が出来ます。
角度をつけた板は自作する事になります。
バイスの口の開く分の広い面を加工出来ます。
念のため加工前に、斜面の2点をピックで測り、例えばX100移動した分をTANで計算して、Zの値を確認してみましょう。
加工時は、肉厚な部分と肉薄い部分とあるので、負荷が、大きくかかる所とそうでない所が出てきますので、品物が飛ばないように、小さな工具で送りを遅めにしときましょう。
別記事で板材に角度を付ける方法を紹介してあります。
アングルバイス という商品があります。参考に。
しろくまさんはYouTubeで紹介された動画です。
角度がつけられるバイス
ちょっと高いのですが販売があります。名前がアングルバイスとかサインバーとかあります。
モノタロウ サイトを載せておきます。
アングルバイスは使った事がありますが、手で締めます。取っ手部分は引っ張ると油圧が効く。そして加工位置が高くなるので、工具干渉しやすくなります。
またチャックが弱いので、加工は、優しくゆっくりめにするのがいいです。
角度を合わせて、ボルトで締めて角度を固定するのですが、念のために、ピックで分かりやすい所でいいので、2点測り、角度が出ているか確認しておきましょう。
平行だし、角度だし、干渉などの段取りに時間がかかってしまうのが、難点ですね。
メインとサブプログラムで斜め加工
例えばC6をエンドミルで作るとします。
手順はメインのプログラムにサブに移るプログラムを入れます。サブに行く前に位置決めをしておきます。
M98 P [プログラム番号] L [繰り返し回数は3]
サブプログラムに例えば45°であれば、G91(その位置から)Xを+1づらし、Z-1にして、Yを材料の幅+カッター径分入れて材料を削る。そして同じく、X+1、Z-1にしてYを同じ数値にします。そうするとアップカットとダウンカットの往復して戻ってきます。最後にM99 メインプログラムに戻るようにします。
マクロプログラムで斜め加工
これはCAMというパソコンで作るプログラムで、3次元的な動きにより、斜面を形成していきます。
使う工具のカタログ値の送りと回転とZ切込み量などを参考に少しづつZとYが移動して削っていきます。
CAMのソフトが100万円?くらいするのか分かりませんが、投資する必要があります。
オフセットや座標回転を使って、同じプログラムを違う場所で使用出来るので、一度、作成出来てしまえば、大変便利です。
これは、CAMソフトと加工機がマッチングしていないと、プログラムを移せなかったりするのでメーカーとCAMが合うかの知識が必要です。
斜面に穴加工
斜面に穴あけをする時は、まず、フラットドリルやエンドミルで、加工面を平らにします。この時、断続切削になるので加工音は、ガタガタとチップが欠けるような音がします。送りと回転を下げておきましょう。やはり、加工負荷が一定ではないので、工具の摩耗が大きいです。こまめに、工具チェックしましょう。
そして、モミツケを行い、キリで穴あけをします。
斜面の検査
加工者が出来る検査としては、内側に目盛りが付いている直角定規を角に当てて、数字を読み取り、三角関数で計算した数値と合っているかを確認してみましょう。
目盛りがついてない直角定規であれば、それでもいいので、角に当てて、直角定規の上からサシで測ってみましょう。
または、全長から角度のついている所までの長さを引いて、真っすぐな所までの寸法を計算で求めて実際にサシで測ってみてあっているかの確認もできます。目視ですけどね。
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